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グローバル時代のHRマネジメントを考える

2019年12月11日

少数派とはいえ、いくつかの先進的な考えを持つ日本企業は、すでにこのような仕組みを構築しています。例えば、AGCグループでは、次世代のリーダーに相応しい人財を国籍や性別などに関係なく世界各地から見出し、次世代のビジネスリーダーを育成するために、「AGCユニバーシティ・アジア」「AGCユニバーシティ・ヨーロッパ」「AGCユニバーシティ・アメリカ」「AGCユニバーシティ・ジャパン」といった企業内大学をリージョンごとに設置。「多様なメンバーとのディスカッションを通じて、グローバルな環境でリーダーシップを発揮するスキルを習得する」環境を整えているのです。(同社Webサイト:https://www.agc.com/csr/employee/employee_2.htmlから抜粋、参照)
また、白木教授の研究によれば「海外派遣経験が長いマネージャーほど、パフォーマンスが高い」という結果が出ているとのこと。そこで、若いうちから海外に赴任させる体制を構築することも有効だと考えられます。実際に日立製作所では、白木教授らの研究結果も参考に、7、8年前から新入社員を海外トレーニーとして短期で派遣する取り組みを行っているようです。
さて、日立製作所といえば、グループ・グローバル共通の人事制度・施策を導入し、中央集権的なグローバルHRマネジメントを実践する企業として広く知られています。その一方で、ネスレやアメリカン・エキスプレスのようにHRマネジメントをある程度、現地法人に任せるケースもありますが、中央集権化したHRマネジメント体制と分権化した体制のどちらがよいのでしょうか?
この問いについて、白木教授は次のように答えます。
「メリットというよりは、自社のビジネスを取り巻く社会的、文化的な環境や事業の特性に対処するための戦略として考えていくべきです。例えば消費財のように、現地に特化したビジネスをしている場合は、現地の事情を知っていなければビジネスが成り立たないので、ある程度現地に任せざるを得ません」
また、中央集権的な制度の下で、本国から派遣された人材中心の組織になれば、現地人材のモチベーション維持が難しくなる一方、現地の人材中心の組織だと、本社からの経営ノウハウや技術の移転が先細りになるというデメリットがあるのは想像に難くありません。
つまり、海外現地法人の成熟度や社会的背景を考慮した上で、各企業のビジョンにフィットする戦略に基づいた体制を構築する必要があるのです。

3.HR・人事担当者こそ、海外に派遣すべき理由とは?

ただし、HRマネジメント体制を分権化するにしても、「すべてを現地法人に任せっ放しにするのではなく、本社がある程度、コントロールするべきなのはいうまでもありません」と白木教授は強調します。そのためにも、本社のHR・人事部がグローバルの視点を持ち、ある程度強権的に進めていくことが求められるのです。その際、日本本社もグローバル体制の一部に入っているという視点が重要です。
例えば、先に挙げた「海外で採用した人材の流出」という課題などを解消するために、業績と評価、処遇の関係性を明確にするべく、グローバルで統一した職務等級制度(ジョブグレード制度)を導入する企業が増えています。例えばカゴメグループでは、世界中どこにいてどんな仕事をしようとも公平な基準で評価され公正な処遇が受けられる体制づくりを進めているとのこと。具体的には、2014年7月より、職務の大きさと市場価値を考慮してグレードを設定し、そのグレードに応じて各種の人事施策を行う「グローバル・ジョブ・グレード」を取締役・役員・コミットメントスタッフ職を対象に導入。2015年からは、この制度を課長職にも適用しているようです。(同社Webサイト:https://www.kagome.co.jp/company/csr/employee/employment/を参照)

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