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管理ではなく、従業員の理解を深める━━
ピープルアナリティクスが経営にもたらすもの

2020年2月26日

1つ目はデータ管理に関することです。これについて入江所長は次のように説明します。
「導入前にデータの一元管理ができておらず、そこで躓く企業が多い印象があります。日本企業では、人事部といっても、採用担当、人材開発担当、人事企画担当などに細分化され、部門ごとに人事データが管理されていて、一元化できていないというケースが珍しくないのです。まずはそのようなデータを一元管理する、あるいは統合しやすいようにすることが求められます。また、取り組みの目的が現場に浸透しておらず、例えば部下との面談記録などをマネージャーが残さないため、データがたまらず、なかなか成果につながらないケースも多いですね」
2つ目は「戦略人事」の視点をもつこと。
「解決すべき課題が明確でないまま導入すると頓挫するケースが少なくありません。そこで、経営戦略と人的マネジメントの整合性をとった上で、優先順位の高い人事課題を抽出。その課題を解決するために、いかにデータやテクノロジーを活用するかということが求められます。つまり人事には、これまで以上に企画力が必要になるということです」(入江所長)
なお、戦略人事とピープルアナリティクスは、両輪で進めていくことが効果的です。
まず戦略人事の視点がなければ、ピープルアナリティクスで解決すべき課題を具体化できないのは先述した通りですが、ピープルアナリティクスを実施し、データに基づいたPDCAが回っていけば、戦略人事が高度化していくからです。また、ピープルアナリティクスを導入して、冒頭の採用業務のように人事業務の効率化が実現すれば、人事担当者は戦略人事における企画立案業務などに集中できるようになるでしょう。つまり、戦略人事とピープルアナリティクス、それぞれの取り組みが互いに高度化していくのです。

図2 戦略人事とピープルアナリティクス(HRアナリティクス)の関係性

図2 戦略人事とピープルアナリティクス(HRアナリティクス)の関係性 図2 戦略人事とピープルアナリティクス(HRアナリティクス)の関係性

3つ目はピープルアナリティクスを現場に浸透させるために配慮すること。
「データ活用は従業員を管理するのではなく、従業員のことをきちんと理解するためのものという姿勢で臨むことが大切です。そして、データ活用の有益性を現場にきちんと浸透させていかなければなりません」と入江所長は強調します。
例えば、ピープルアナリティクスによって、エンゲージメントが下がっている従業員が把握できたら、人事部がしっかりとケアを行うことを実践すれば、取り組みは自然と社内に浸透していくでしょう。しかし、単に適職診断だけを行って、説明も不十分なまま「あなたは営業適性が高いから営業部に異動しなさい」というだけでは、到底理解は得られません。

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