2019年3月29日
また、同時期に実施された別の調査では、10年前と比較してオープンイノベーションが活発化していない日本企業が、全体の半数以上に上るという結果もあるのです(公益財団法人未来工学研究所,『平成27年度産業経済研究委託事業(企業の研究開発投資性向に関する調査)報告書』,2016)。
「我々が実施した調査では、オープンイノベーションをやめた会社の割合も日本の方が多いということが明らかになりましたが、その理由は『実施するための経営能力や人材が不足している』『実施する必要性を感じない』『必要とされる組織体制に不備がある』など━━(図2:米山茂美,渡部俊也,山内 勇,真鍋誠司,岩田 智,『日米欧企業におけるオープンイノベーション活動の比較研究』,2017)。いずれにせよ日本ではオープンイノベーションに懐疑的な企業が少なくないのです」と米山教授は指摘します。
図2 オープン・イノベーションを実施しない、または中止した理由
オープンイノベーションに懐疑的な企業が多いのは、日本国内に成功事例が少ないことが要因の1つだと考えられます。
そこで今回は、オープンイノベーションを成功につなげるために必要なことや解決すべき課題について、考察していきます。
早稲田大学大学院経営管理研究科の川上智子教授は、オープンイノベーションを成功させるためには「マーケティングサイドからのアプローチが必要」だと指摘します。
「日本で10年以上の持続的競争優位を維持するいくつかの事例を分析すると『1.非顧客層を探索し、新たにプレイヤーを巻き込みながら、新しい市場構造を構築し顧客の行動を変えている』『2.事業の進展に伴い、市場の主要なプレイヤーが変化し、非顧客層の顧客化が進んでいった』『3.非顧客から顧客への転換は事業の展開とともに市場のプレイヤーとの相互作用の中で決まる側面を持つ』という3つの特徴があることがわかりました。この中で1つ目のポイントに注目すると、持続的競争優位を獲得するためのイノベーションを起こすには、革新的なシーズによって一緒に新しいマーケットを作っていくこと━━つまり、市場の構造と行動を変えていく『市場ドライブ型』のマーケットを作る必要があるということになります。そして、マーケットを作るとなると、マーケティングサイドからのアプローチが必要不可欠。これはオープンイノベーションでも変わりはありません。しかし、イノベーションの創出というと、技術革新という枠組みの中で語られることが多いのが現状です。恐らくオープンイノベーションによる成功事例が少ないのは、このことが関係しているのではないかと考えられます。たとえ、技術を外部から持ってきて、何かを生み出したとしても、マーケットをつくることができなければ、ビジネス的な成功は収められませんから━━」(川上教授)
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