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AIを活用した次世代型「経営戦略」のカタチ

2019年6月4日

1.AIは経営戦略に活用できない?

ここ数年の人工知能(AI)の進化には目を見張るものがありますが、一口にAIと言っても、その研究分野は様々。メディアなどでよく目や耳にする「マシンラーニング(機械学習)」「データマイニング」「音声認識」「ヒューマンインターフェイス」という技術の他にも多様な技術が存在します。
今回クローズアップするのは、その内の1つである「マルチエージェントシミュレーション」。この技術を活用すれば、未知の出来事に対する分析ができますが、「経営戦略」の善し悪しを判断するのに役立つというのです。
「『経営戦略』とは、新商品を出す、新たな販売ルートをつくる、あるいは今までない組織を構築するという――これまでになかったことをモデル化することです。そうすると近年のAIのビジネス活用で流行っている『機械学習』や『データマイニング』といった技術から得られる情報は基礎情報としてしか活用できません」
そう語るのは筑波大学大学院 ビジネス科学研究科の倉橋節也教授。
機械学習は、コンピューターが自律的にデータを解析する仕組みで、データマイニングはその機械学習を使って、データの中から有益な情報を得る技術。これらは、いわゆるビッグデータ解析を行うもので、商品のリコメンデーションや売上予測などに利用する企業が増えています。
しかし、このビッグデータは、あくまで過去、もしくは現在の事象――つまり実際に起きたことからしか得られません。そのため、これらの技術を使って、経営戦略を実施した後の成果を予想したくても、基になるデータが存在しないため不可能なのです。
その点、マルチエージェントシミュレーションは、自律的に行動するエージェントを人や組織に見立て、その行動などをコンピューター上でシミュレーションする技術なので、十分なデータがなくても分析可能。シミュレーションという手法は、これまでも経営戦略を実施するにあたって――例えば、出店計画や資金運用計画などで使われてきましたが、この技術を活用することで、より精緻に戦略のリスクなどを確認することができるのです。

2.経営戦略のリスク分析には、マルチエージェントシミュレーションを活用

それではマルチエージェントシミュレーションを使うと、具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか?
「他の技術に比べると、国内ではまだまだ活用事例は少ないのですが、『店舗内のレイアウトをどのように変えると、非計画購買(購入計画のなかった商品を買うこと)をするお客さんがどのくらい増えるか?』というシミュレーションを行う事例などはあります。また、ある航空会社では、貨物機の導入にシミュレーション技術を使っているようです。どこをハブにして、どのように貨物機を飛ばせば利益が最大化するかということをシミュレーションし、大量の機材を発注する。データに基づいたシミュレーションをしているからこそ、自信を持って大胆な意思決定ができるようになるということですね」(倉橋教授)
その他、問い合わせ数とオペレーターの処理時間をシミュレーションし「コールセンターの人数を何人にすればいいか?」という分析を行ったり、顧客行動をシミュレーションして「どのような販売チャネルを構築するべきか?」あるいは「広告の効果を最大化させるためには広告予算の配分をどうするべきか?」といった活用事例もあるとのこと。つまり、マルチエージェントシミュレーションは、組織マネジメントやマーケティング、予算配分の最適化など、目的やアイデア次第で様々な使い方が可能なのです。
既に米国をはじめとする海外では、このような手法でシミュレーションを行うことが当たり前になっていると倉橋教授は指摘します。だからこそ数多くの海外企業がドラスティックな経営判断が行えるのでしょう。そう考えると、グローバリゼーションが拡大する現在、日本企業が国際競争力を高めるためには、AIによるシミュレーションを行うことは必要不可欠だと言えそうです。

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