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人材マネジメントの新潮流~ノーレイティング

2019年7月29日

<メリットA>社員のモチベーションを高めやすい
守島教授が考える「ノーレイティング」を導入する最大のメリットが「社員のモチベーションを高めやすいこと」です。
これはマネージャーとの密なコミュニケーションが生まれることによる効果に他なりません。
「例えば、自分が仕事をして成果が出たとしても、半年後に評価されるときにはその時のことは忘れてしまう。『ノーレイティング』であれば、契約が取れたことに対して、すぐに評価してもらえます。このような成果がでた後すぐのフィードバックは、モチベーションの向上に寄与するのです」と守島教授。
さらにランク付けをなくし、評価が相対的でなくなったことや、対話ベースで評価されることで評価内容に納得できるようになることもモチベーションの向上に好影響を与えます。

<メリットB>ビジネス環境の変化への迅速な対応が可能に
またMBOのように半期や年次での目標設定ではなくなるので、環境の変化に合わせたリアルタイムな目標設定ができる結果、ビジネス環境の変化に迅速に対応できるようになります。
「例えば、評価期間の途中で市場やお客さんの状況が変わってしまったり、予定より早く目標を達成してしまったりした場合にすぐに対応できる」(守島教授)のです。

<メリットC>働き方改革を推進しやすい
「ノーレイティング」は「働き方改革」推進との相性もよいと、守島教授は強調します。
「ノーレイティングの導入によって、育児や介護など、状況の変化に応じて、労働者側が『今期は目標を下げさせて欲しい』ということが言いやすくなるからです。例えば『子どもが生まれたから、この3ヶ月は目標を軽くしてほしい』など━━。そう考えると多様な働き方の実現にも貢献できる取り組みだと言えます。また上司と部下のコミュニケーションがよくなることも言いやすさに繋がります」(守島教授)とのこと。
さらに、働き方改革が推進される中で、テレワークやサテライトオフィスの活用、あるいは短時間勤務など様々な取り組みが行われています。そのような中で「1on1ミーティング」など、上司と部下のコミュニケーションがきちんと機能していれば、部下は安心して、多様な働き方ができます。


経営的なメリットとしては、従業員のモチベーションが維持されることで、「離職防止につながり、優秀な人材の確保など、人手不足対策に貢献すること」や「従業員1人ひとりの生産性向上に貢献すること」が挙げられます。
また、現在のビジネスでは、市場や環境は常に変化していきますが、従業員ごとの目標管理に合わせて、業務のPDCAサイクルを短いスパンで回せるため、そのような変化への迅速な対応が可能になります。
つまり、「ノーレイティング」導入により、従業員の生産性の向上を実現し、経営戦略をタイミングよく実行する環境が構築されることで、企業業績の最大化が期待できるのです。

4.「ノーレイティング」導入を成功させるポイントについて

10年ほど前に米国で生まれたばかりの「ノーレイティング」ですが、守島教授によれば「3、4年前に日本企業を対象に実施したある調査では導入したいと答えた企業は半数以上だった」とのこと。そして、最近、先述したようなメリットが認められ、「実際にP&Gや日本マイクロソフトなどの外資系企業をはじめ、三菱商事やキリンなどの日系企業も多数導入している」(守島教授)のです。
そんな「ノーレイティング」を導入する企業の運用方法を大別すると「人事部門が裏でサポートに回るタイプ」と「完全に現場のマネージャーに任せてしまうタイプ」に分けられるといいます。
「前者はグーグルやヤフーといった企業が代表的な存在です。『ノーレイティング』に伴う現場マネージャーの負担を軽減する仕組みを、会社がきちんと構築してサポートを行っています。恐らく日本企業はこのタイプで運用するのがよいと思います。一方、後者は日本企業では少し難しいかもしれません。キーエンスがそのようなやり方を採用していたと思いますが、それは元々現場のマネジメント体制がしっかりしていて、マネージャーのスキルが高かったからこそ可能なのでしょう」(守島教授)

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